空の音を聴く

好きなものについてまとまりなく書くブログ。関ジャニとか読書とか映画とか。

「上を下へのジレッタ」6月12日昼公演感想

ご無沙汰しています。

半月以上、ブログを更新出来ていませんでした。

書こうと思いながらも、自分は文章を書くのに時間がかかるので中々PCを立ち上げれず・・・。

仕事の方が忙しく、学会で発表するというほぼ1年半かけて準備してきたものがやっと終わりました。

気が抜けて、疲れが一気にきたのか?何だか変なかんじで不眠も続いております(笑)そして、咳喘息が再発してしまいました。

「疲れていたのかな・・・」と実感しているところです。

気持ちは元気なんですけどね。

 

関ジャニ∞の「ジャム」関連の情報もほぼ毎日更新されていたような日々でしたが、それもまともに追えておらず、そして、5月初旬に実施したアンケート結果の発表がまだ、という体たらく、申し訳ありません。

なのですが、ジレッタの感想を書いておかないとどうにも自分が動けないような気がしていたので、先に感想をまとめさせていただこうと思います。

 

 

 

 

 

門前は何を求めていたのか?

何故あのような最期を迎えなければいけなかったのか?

 

前の観劇が終わってから、ずっと考えていました。

 

「上を下へのジレッタ」の結末は、主人公の門前が山辺の作った「世界が崩壊する」ジレッタに、門前が取り込まれるところで終わるという悲劇的な結末です。

門前を演じる横山さんから感じ取る事の出来る、恐怖や絶望という感情は凄まじく、私もあまりの怖さと衝撃に涙が止まりませんでした。

 

特に前者の方はすごく気になっていて、一回目の観劇の時は、「メディアの世界で唯一無二の存在になる」事だと感じました。

「ジレッタ」を追い求めすぎるあまり、どんどん闇にのまれてしまい、最期はそのジレッタに取り込まれたのかな、と感じはしたのですが、何故そこまで「ジレッタ」に固執していたのだろう、という疑問が残りました。

「メディアの世界で有名になる=天下を獲る」ためだけにあそこまで自分自身も周りも落い詰めることになったのか。

門前はすごく人間臭くて、不器用です。無茶苦茶な部分も多いのですが、優しい部分もあります。

その人がどうして、あんな結末を迎え、どんどん崩壊してしまったのか、私はずっと疑問でした。

もしかしたら門前の求めている何かを、私は捉えることが出来なかったのかもしれない、門前がああいう風に行動したのには他の理由もあったのかもしれない、と感じました。

 

そういう気持ちで、2回目を観劇しました。

そんなかんじなので、非常にくどくどと、いろいろな話をしています。読みにくくわかりにくいかもしれません。

お時間のある時に読んでくだされば幸いです。

 

 

 

まず、今回一番に感じたのが竹中さん演じる有木社長のアドリブがすごいという事(笑)

私が初めて観たのは開幕してすぐでしたし、まだ探り探りだったのかもしれませんね・・・あそこまでアドリブを連発するとは、すごい!の一言です。

登場した瞬間から、もうこちらが笑いが堪え切れないくらい竹中さんが楽しそうなんです(笑)

後ろの方にいたおじさんがめっちゃ笑ってました。私もそれにつられて堪えてた笑い声が飛び出してしまいました。

竹中さんが演じる有木社長は、下手側の客席横から登場します。

通路を通る時に、通路にある手すりをぽかぽか叩きながら登場し、そのあと始まる「Mr.Yes man」というナンバーもすごい。

♪ア・わたしを尊敬している

とか、竹中さんじゃないと歌えないような歌詞です。

初見で観たときも驚いたけど、二度目でもお腹がよじれるかと思うくらい笑ってしまいました。

 

門前が有木社長にジレッタを体感させるシーンでも(1幕終わり)、とにかく門前やチエにちょっかいを出しまくっていて、門前とチエが割と真剣な話をしている横で有木社長がおふざけをしているんです。会場は笑いに包まれていて、でも二人はストーリーを進めないといけないから真顔で話している、という非情にシュールな光景でした(笑)

塩釜総理とのシーンでも(ジレッタ国営放送が始まる日のシーン)アドリブを飛ばして銀粉蝶さんを困惑させていました(笑)

役者さんが、自分の持てる力で場を華やかに、賑やかにする。

会場がそれで笑ったり、楽しんだりする。そういうのを目の当たりにして、すごく幸せな瞬間でした。

 

そして、出演者の歌がパワーアップしていました。

1幕1場、門前さんの始まりのナンバー。「虚構の共犯者」からそれが分かりました。

先月のはじめに観た時は、不安定さが残っていたのに、それがほぼ皆無と言っていいくらい、太くて遠くに届く声でした。

鳥肌が止まりませんでした。

ハモリの部分もとっても良かった・・・!前回観た時は声に、デュエット・トリオで歌うとかき消されていた部分もあったけど、今回はばっちりと聞こえました。

しょこたんSNSを拝見していますと公演中も定期的にボイトレが入っていたようなので、すごく丁寧に指導がいったのだろうな、と思います。

しょこたんも、より安定して華やかな歌声になっていたように感じました。だからよりチエの最期がすごくつらくて、寂しくて堪らなかった。

他の出演者さんも素敵だった。

日々、1公演ないし2公演。その中でボイトレもしたり、体調も整えなきゃいけない、他の仕事もある・・・

そういう状況でより素晴らしいものを見せてくれるジレッタのカンパニーのみんなに、感動しっぱなしで、楽しいシーンの筈なのに何度も何度も涙が溢れてしまいました。

 

 

そして。

一番疑問に感じてた、「門前がジレッタに堕ちた理由」。

何故、あんな最期だったのか。

門前は何を求めていたのか。

色々と考えたのですが、門前は、もしかしたら「誰かにとっての唯一無二」になりたかったのかもしれない、と感じました。

2度目、門前の心の動きに注目して観劇していたのですが、やはり一番門前にとって大きかったのは、元妻である「リエ」の存在だったと思います。

 

1幕2場で、門前はリエに自ら離婚を告げます。

「何かを成し遂げるには犠牲がつきものだろう?」と言ってすでに記入した離婚届を突き付けます。最低男です(笑)

でも、門前は本当にリエを手放す気は無くて、例え離婚したとしても絶対にリエは自分以外の男性に目を向けないという自信を持っていたように見えました。

「じゃあな、もう会う事も無いだろうよ」と言い立ち去る門前に、一人残されたリエは「(また)会うわよ、きっと」と呟きます。

リエは、門前を求めていた。

きっと門前は、リエが絶対に自分を求めてくることをわかっていたのでしょうね。

 

その後も、チエのデビュー計画が失敗した失意の中にある門前は、結局リエの元に帰ってきます。

この時のリエの安心したような、でもそれを悟られないような「わかっていたわよ、結局私のところに帰ってくること」というような表情。

門前がちーん・・・とうなだれてる横でそんな表情をしているリエがすごく可愛くて、何だか胸がぎゅっとしました。

リエは、門前に必要とされたかったんだろうな・・・と思います。

 

しかしその後。

山辺のジレッタが大きな武器になると気付いた門前は、ジレッタを利用することを思いつきます。

夜、二人きりになった公園で、門前とリエが歌う「野望と現実のはざまで・・・・・・」。

そのナンバーでリエは、♪小百合チエと別れて、とはっきりと言っています。自分だけのものでいて、と。

でも門前は、それを誤魔化す。

ここからどんどん、二人の歯車が狂っていったように思います。

 

その後はもう、どんどんリエの心が門前から離れていきます。

「つまらない男になったものね」と言われてしまうのです。「もう会ってもわからないかも」とまで言われて・・・

門前、そんな事を言われるとは思っていなかったでしょうね。

「何でそんな事言われなきゃいけないんだ?」と言わんばかりの門前の反応に、お前が勝手してたからじゃろ!!とツッコミたかったです。

 

そんな風にリエに見捨てられた門前、逆に今度は、門前の方からリエに固執していっているように感じました。

国営放送が始まる日、「お別れを言いにきたの」というリエ。

「ありふれた男」で、門前が

♪君には俺しかいないはずだ 君には 

と、歌っているのを聞きながら、そうじゃないだろ!!と言いたくなりました。

ただ、「俺には君が必要だ」と言えば、リエは戻ってきてくれたかもしれないのに。

 

独りよがりの門前を、リエは捨てて海外に飛びます。

しかし門前は、リエに捨てられたことが我慢ならなかったのでしょうね。結局海外までストーカーして追いかけてリエを求めるけど、それでもリエは門前を選ばなかった。

 

リエに求めて欲しくて、でも求められなくなってしまった門前にとって、世界は意味のないものだったのでしょうか。

だから、山辺に「世界を壊せ」と言ったんでしょうか。

だとしたら、すごく悲しい。

 

最期、門前が取り込まれることになる悪夢のようなジレッタで、最初に亡霊のような形で現れるリエ。

さみしくて溜まりませんでした。

現実世界でもリエから見放されたのに、ジレッタの世界でもリエは消えてしまう。

山辺も、チエもいなくなりました。

有木社長や竹中社長、ジミー・・・今までかかわってきた人みんな、誰も門前のことを見ていないんです。

門前が孤独のまま「ジレッタ」に取り込まれていってしまうのだ・・・と気づいた時、悲しくて涙が止まりませんでした。

 

チエがライン川に転落して瀕死の重体だった時、ギャングに「山辺がジレッタを出来る状況じゃない」って言っていたように、優しさがある人なんです。

でも、たった一人で「ジレッタ」の世界に閉じ込められてしまう・・・

門前の最期のセリフ、「妄想・・・妄想・・・現実!!」。

この意味を、ようやく理解したような気がしました。

ずっと「妄想の世界」だったジレッタ。

自分の欲を満たすために利用してきたものに取り込まれる。門前にとっては、「ジレッタ」こそがこれから現実になるのです。

でもそのジレッタは、残酷で、悲しくて、恐怖に包まれたものです。

そこにこれから取り込まれ、出られないと分かった時の気持ち・・・どれだけのものだったんでしょうか。

 

 

つらつらと書いてきたのですが、門前が求めていた「リエの唯一になること」。

門前は見つけることが出来なかったけど、そのための鍵は、きっとすぐそこに、傍に落ちていたのでしょう。

門前はそれを見つけられなかった。

だから、ジレッタに堕ちてしまったのかもしれません。

 

門前が幸せに終わる結末もあったのかもしれませんが、それでも、この物語は門前が死ぬことでしか結末を導くことは出来なかったのかもしれない、と思いました。

「門前、どうしてだよ」と言いたいけれども、劇中のキャラクターの行動や言葉は、すべて、あの結末に向かっていっていたのだろうな、と。

最初観た時から正直、「門前が死ぬかもしれない」と思ったけど、やっぱりそれが的中して非常にしんどかったのですが、それでも、これしか結末はなかったのだろうなと思います。

 

 

 

少し余談にはなってしまうのですが・・・

現代の日本では、どちらかというと楽しくてハッピーな演目が好まれるのかな、と思います。

四季なんかはその代表例でしょうか・・・?

今一番人気なのは、「アラジン」だと思うのですが、あれこそまさにハッピー!!というかんじのミュージカルかと。

その、「アラジン」は、ブロードウェーにて上演されたのを日本語版として持ってきた作品なんですが、2014年のトニー賞に作品賞としてノミネートされています。

でも、同年のトニー賞で作品賞を獲ったのは「紳士のための愛と殺人の手引き」という作品です。(※市村正親さん主演で今年度春に上演されました。)

タイトルから分る通り、ブラックコメディです。

私はトニー賞でのパフォーマンス映像しか観れてないのですが(すごく面白かったです。)、楽しくてハッピーな物語だけがすべてじゃないんだ、と思わされます。

決してハッピーな物語を馬鹿にしているというわけではなく、人間の欲望、意地汚い部分、残酷な部分を観せてくれる物語も、とてもとても素晴らしく、

尊いものなんだな、と思うのです。

 

 

初めての観劇後にこんな風に呟いていたのですが、2度観ても、同じことを感じました。

残酷だからこそ、伝わるものもある。悲しい物語から読み取れるものがある。

原作の手塚さんが、どういう思いでこの作品を書いているのか、すべてを把握することは出来ませんが、「大切なものを見失うなよ」というようなメッセージが突き刺さってきたような気がします。

門前が幸せになるためには、すぐそこにあるものを取ればよかった。

それを見失うことがなければ、もしかしたら幸せな未来も待っていたのかもしれない。

反面教師にするわけではないのですが(笑)、私はそう感じました。

自分の大切なものを見失うことがないように、と。

 

 

劇場の沢山の拍手の中、泣きながらいっぱい拍手をして、とても幸せな気持ちになりました。

3度目のカーテンコールだったかなぁ・・・

観客総立ちが起こりました。

「立見席の人もありがとうございました~~~(*^_^*)」というかんじで、笑顔でWピース。

とても心がほっこりしました。

横山さんの楽しそうな笑顔を見れて、とてもとても幸せでした。

ありがとうございました、という気持ちでいっぱいでした。

 

素敵な脚本や演出、歌、キャストさんの力・・・

いろいろな人の力と、そして、「ジレッタ」という作品が好きだという気持ちをひしひしと感じました。

舞台を観ていて、演者さん、スタッフさんが「この作品が好き」と言ってくださっていて、その作品を観ることが出来る幸せ。

舞台ファンをしてしばらくになりますが、そういう舞台と巡り合えることは本当に幸せな事だと思います。

ありがたいです。

 

勿論、ファンのみなさんの「ジレッタ」への気持ちもすごいなぁ、と。

私は「八犬伝」という舞台が大好きだったのですが、観ていた当時、「八犬伝」の原作を読みましたと言っている人に会っただろうか、と思うのです。

思い出してみたのですが、いませんでした(笑)

古典だから難しかったというのもあるとは思うんですがね。

でも、関ジャニ∞のファンの人は原作本を読んだりしていて、手塚治虫さんの作品に触れていて、すごいなぁ・・・と。

世界にダイブする準備を、丁寧に出来る人が沢山いるんだなぁ、と。そういうところでも感動してしまいました。

CD化もDVD化もないと言われていますけれども、そういうアナウンスがある事自体、舞台作品では珍しい事なんだと思います。

それほど、愛されていた舞台なんでしょうね。

ファンに残されている、この作品に望めることは再演しかない状態ではありますが・・・。

再演。

主演の横山さんをはじめ、みなさんお忙しい方ばかりですし、なかなか難しいだろうなとは思うのですが・・・

それでも、また会いたいという気持ちが、少しでも「ジレッタ」のカンパニーに伝わればいいなとは思います。

 

 

そして横山さん。

門前さんという人に会わせてくれてありがとうございます。

色々な事を考えさせられました。

舞台で歌って踊って叫んで、全力の横山さんの姿に、幸せと頑張る力を沢山もらえました。

ありがとうございます。

 

あと1日ありますが、どうか千秋楽まで、走り抜けてくださいね。

そして、その後の関ジャニ∞のコンサートで、また沢山の笑顔を見せてください。

楽しみにしています。

 

まだぐちゃぐちゃとした考えしか持てないのですが、自分なりの答えは出せたのかなぁ、と思います。

読みにくい感想で非常に申し訳ないです・・・。

皆さんの門前に感じた思いなども、こっそりでも良いので教えてくだされば幸いです。