「上を下へのジレッタ」感想
5月10日、「上を下へのジレッタ」をシアターコクーンにて観劇してまいりました。
ずっと感想を書きたかったのですが、中々まとめられず・・・。
東京公演も折り返し地点を過ぎたし、来週から自分のお仕事の方でてんてこ舞いになるので今、まとめておこうと思い、こうして書いている次第です。
以下、ネタバレを含みます。
まだ観劇しておらずこれからという方、ネタバレ嫌だという方はどうか避けてくださいね。
すみません。
<ストーリーについて>
私が書いているのを見るより、きっと公式や、記憶力の良い方が書いているのを見た方が良いのではと思うのですが・・・(笑)
事前に原作を読まずに1回だけ観劇して、こんな風にストーリーを把握したんだなぁ、というかんじで読んでいただけると幸いです
お話は、門前がプロデューサーを担当していた番組の一場面から始まります。
その番組で門前は、大手の芸能プロダクションである竹中プロのアイドルをコケにした事で、プロデューサーをクビになってしまいます。
門前は復讐を企み、竹中プロをクビになったばかりの歌手・越後君子を呼び出します。
その君子は、素顔を見せない覆面歌手として活動していたものの、地元のコンサートで仮面を外してしまいクビになってしまった程のブサイクでした。門前は君子に愕然とします。
門前の弾くピアノで歌だけ聞いていたのですが、クビになったばかりでロクに食事を摂っていたなかった君子は、歌う途中、絶世の美女に変身します。
君子を利用して芸能界に一矢報いる決意をした門前は、君子に「小百合チエ」という芸名を与え、芸能事務所の「門前プロ」を立ち上げます。
美貌を保つため食事を摂らせないという、チエに虐待まがいの扱いをしていた門前の前に、チエ(君子)の同郷で売れない漫画家の山辺音彦が現れます。
山辺はチエの婚約者でもありました。
山辺は門前からチエを救い出すために、門前と工事現場で話をつけようとします。しかし工事現場のためお互いの話し声が聞こえず、とぼけた様な門前に怒った山辺は、門前ともみ合いになるのですが、山辺は足を踏み外し近くにあった穴へと転落してしまいました。
山辺が死んでしまったかもしれないことに恐怖を抱く門前でしたが、そんな時に米国の有名歌手・ジミーがチエと共演したいと聞き、舞い上がります。
チエが美貌を保つためには空腹でなければならないので、門前はチエに飲まず食わずを強要します。
コンサート前、気分が盛り上がったチエとジミーはキスをしますが、そのせいでチエのお腹からジミーの歌声が聞こえるという展開に。
(ジミーは、本当は歌が上手くなくて、喉にスピーカーを仕込んでいたのです)
焦った門前はチエにそのお腹の声を何とかしろ!と言いますが、治すために水を沢山飲んでしまったチエはブサイクに逆戻りしてしまいます。
コンサートは失敗。門前はまたもや芸能界を追われる羽目になってしまいました。
その後、門前は塞ぎ込んでいましたが、側には元妻のリエが。
門前が番組プロデューサーをクビになった際、一方的に離婚を突き付けていたのですが、それ以降もいいようにリエを利用していました。
門前は、とある医者たちから呼び出しを受けます。それは、あの山辺に関係することでした。
穴に落ちた山辺は、実はその後数か月経っても生きながらえていました。
彼は穴に落ちた後、地下の世界で彼の妄想の世界「ジレッタ」を作っていました。それにより生きながらえていたのです。
山辺の妄想の世界である「ジレッタ」は、聴診器を彼にあてる事で門前にも体験することが出来ました。強烈な世界を体験した門前は、これが金儲けや人を驚かせるために利用できると企みます。有木というトイレ会社の社長を言いくるめ、万博に「ジレッタ」の世界を展示することになりました。
門前が「日本中にジレッタを広めてやる」と決意するところで1幕は終わります。
2幕は、「ジレッタ」が万博で展示されているところから始まります。(山辺は、1幕の最後では落ちた地下でしか生きられないというようなかんじになっていたのですが、普通に生きれるようになっていました。ここの過程の記憶が飛んでおります。すみません。)
万博では、特殊なヘッドホンをつけることで山辺の発する超音波を感知し、ジレッタを体験できる施設を作っていました。
強烈な世界を体験できるジレッタは大人気。
そんな時、門前やチエが芸能界から追われる原因となった竹中プロの社長がやってきます。
チエを苦労する道へと追いやった竹中社長に、山辺は自分たちがクビにしたアイドル達の酷い「ジレッタ」を見せます。そ
の「ジレッタ」により気が狂ってしまった社長。
社長秘書は山辺を訴えますが、山辺は無罪。それは、当時の日本の首相・塩釜のお蔭でした。ジレッタの評判を聞きつけた塩釜首相は、「ジレッタ」を国に広めようとしていたのです。
門前は、ここでも塩釜を利用して「ジレッタ」で天下を獲ることを思いつきます。ヘッドホンさえあれば「ジレッタ」を体験できるようになっていたため、塩釜・門前、そして出資者の有木の3人は、ジレッタをN○Kのような国営放送で流す計画を立てます。
国営放送設立までに1年の時が流れました。門前は、大企業の社長のように振る舞っていましたが、そんな中、元妻のリエが現れます。門前に愛想を尽かしたリエは、バイヤーを営む新しい夫とともにスイスのジュネーブに越すことを告げました。嫉妬した門前はリエを引き留めようとしますが、リエは行ってしまいます。
国営放送開始のその時。他の男に元妻を取られた門前は、山辺・チエ共々、「ジレッタ」で日本中を混乱させ、塩釜と有木も出し抜き海外逃亡する計画を立てます。結果、逃亡は成功。門前たち3人は、スイスのジュネーブに行くこととなりました。
しかし、潜伏先の海外でも裕福な暮らしは出来ず、日本にも戻れない日々。燻っていた門前は、世界にその名をとどろかせるため山辺の「ジレッタ」を利用する計画を思いつきます。
それは、アメリカのロケット発射に合わせ、山辺が全世界に超音波を流し、「月が地球に衝突する」という「ジレッタ」を見せ、世界を大混乱に陥れる計画でした。
海外逃亡をする際、山辺はヘッドホン無しでも他人に「ジレッタ」を見せる力を身に付けたのです。
ジュネーブで、元妻のリエと再会した門前。
またもやリエに自分の元に戻って来るよう告げますが、リエは拒否。門前は、「ジレッタ」によって世界を混乱に陥れることを告げます。
リエは、門前を止めるため山辺と会おうとします。
山辺の側にいたチエにより、山辺と二人きりで話すことを邪魔されそうになったリエは、山辺に、門前とチエが男女関係にあったことを告げ口します。
怒り狂ったチエは、リエを殺そうとしますが、誤ってライン河に転落してしまいました。
重体の状態で見つかったチエ。山辺は傷心し「ジレッタ」を起こせる状態ではなくなってしまいました。
ですが、門前は、世界中を大混乱に陥れる「ジレッタ」を起こすために、ギャングまで利用していたのです。大金を投資しているギャングはそれを許しません。
結局、チエは亡くなってしまいます。自暴自棄になった山辺、後の無い門前は、「ジレッタ」を決行することを誓いました。
ロケット発射の時、山辺は「ジレッタ」で地球が滅亡する世界を全人類に見せます。強烈で残酷な妄想に、狂喜乱舞する門前。
しかし、山辺はチエのいない世界に未練は無く、命を絶ってしまいました。
山辺が死んでしまったことで、「地球滅亡」の世界から逃れられなくなってしまった門前。それは、イコール死を意味します。
混乱した門前の前に、今まで自分が利用してきたチエ、元妻のリエ、有木社長、竹中プロの社長が現れます。
門前は、山辺に命乞いをしますが、山辺は「ジレッタ」の世界で、チエと手を繋ぎ消え去ってしまいました。
一人残された門前は気が狂い、断末魔のような叫び声をあげながら「ジレッタ」の世界へと消えていきました。
お話としては、大体こんなかんじでしょうか。
一度しか観劇していないので曖昧な部分が沢山あります。申し訳ありません。
もしかしたらストーリーの解釈自体間違ったところもあるかも。
ちゃんとした記憶力が欲しいですね・・・(汗)
<感想>
言葉で言い表すのは難しいのですが、すごく面白かったです。
「ジレッタ」の世界は、本当に原色です。凄かった。
カウボーイになった山辺とチエが、門前とリエ(元妻)をぶちのめしたりします。
むちゃくちゃです。
こんな世界を思いつく手塚治虫さんも凄いと思ったけど、演出家の倉持さんや、演出家の意図を再現しようとしたスタッフも凄いな、と。
勿論演者さんも凄い。
色々な人の力が結集して、めちゃくちゃ面白い舞台になっているなぁ、と思いました。
「妄想歌謡劇」というタイトルの通り、どちらかというとミュージカル>ストプレ、という舞台です。
十分にストプレ要素も強いとは思うのですが、ミュージカルっぽいなぁと感じました。
ダンスもあるし歌もあるし、というかんじで、でもダンス要素はそこまで多くはなかったように思います。踊ってはいるんですが。
人物の心情描写だけでなく、「ジレッタ」の世界でも歌がよく使われていました。
デュエットからトリオで歌うのまで、もういろいろな曲があって聞いていて本当に楽しかったです。
音楽の宮川アキラさんの曲がすごくよかった。
私も大好きな「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク版の音楽を担当されていたり、「クインテット」をはじめNHKの音楽番組で拝見していたので、舞台でアキラさんの音楽が聴ける日がくるなんて・・・と感無量でした。
古いようで新しい、あの時代に沿った、あの時代の話だからこそ歌えるナンバーというかんじでした。
バラードからポップでキュートなもの、ファンキーなものまで本当にジャンルも多彩で。
聞いていて飽きなかったし、スタジオ録音盤でもいいからCD出してほしい・・・と思ってしまいました。
お衣装も原色~~~!!というポップなかんじのものから、シックなものまであって面白かった。
アンサンブルさんの衣装が次々と変わるので、大変だったろうなと思う。早替えとか。
門前は、はじまりの場面だけキラキラしたコートを羽織っていましたが、すぐ抜いでそれ以降はすべてモノトーンの衣装になっていました。
原色の世界の中、門前だけモノトーン。
それが際立っていてとてもよかったなぁと思います。
事前にキャッチしていた情報から、横山さんはすごい歌いまくるのかなと思っていたのですが、思ったより横山さんは、歌いっぱなしというかんじではなかったです。
ただそれでもすごく歌う場面が多かった。
ソロ歌唱というより、門前+他の誰か、という歌が多かったようには感じます。
以下、本当にお叱りを受ける覚悟で書くのですが・・・
ボイトレで歌唱力が格段に飛躍したかと問われると・・・。
他の演者さんと比べてしまうと、安定感はあまり無かったように思います。
エイトで誰が自担かと問われると私は横山さんと答えるのですが、贔屓目なしに、本心から感想を書きます。
自分が行った回だけかもしれませんし、もしかしたら今は全編通して安定感抜群になっているかもしれません。
ただ、私が行った回の序盤は、声が細っこく聞こえてリズムや音程も聞いていて少しだけハラハラするところがありました。
難しい曲なのは聴いて一瞬でわかります。
譜面を見てみたいと思うぐらい、臨時記号とかつきまくってメロディーも難しいもので・・・
観ていてドキドキしました。「これは、なんと難しい曲を歌っているんだ・・・」と。
ただ、中盤~後半にかけて、(恐らくは)喉の調子が上がって来るとかなりヘッドボイス(頭声)で音が飛んでいるように感じましたし、声も太くなって、歌詞もクリアに聞き取れるようになりました。
後半になるとドンドン、声が太くてバンバン遠くに飛んでいて、「うわぁー!!すごいー!!」と一人感動していました。
ボイトレを頑張っていたというのもすごく頷けました。
ボイトレ無しでは絶対に歌いこなせないようなものばかりだなぁとも思いましたし、素人の私が聞いていても歌の難しさが分かるので、「歌が苦手」だと公言している方が、こんな風に歌えるようになるまでどれだけ努力したんだろう・・・と鳥肌が立っていました。
私は、聞いていて少し不安になる箇所もありました。
でも、それ以上に横山さんがとにかく全力で、懸命にこの舞台に取り組んでいるのが伝わってきました。
こんなに難しい曲だから、どれだけボイトレ頑張ったんだろう、とか、今の声の飛び方素敵だったなぁ、と、観劇中いろいろと考えを巡らせていました。
ずっと思っていたことがあります。
それは、横山さんの歌についてです。
いつも、歌に限界を作らないで欲しいなと感じていました。失礼な事を言っている自覚はあります。でも、本当にそう思っていました。
ご自分で「苦手」と仰っているし、たぶん、話のネタにしている部分はあるんだと思うんです。
エイトの他のメンバーや、周りの人たちと自分を比べていたことも、きっと沢山あるのでしょう。
でも、音楽は限界を作るとその先が無いものだとも思うのです。「自分は下手だ」と言い続けていると本当にそうなるというか・・・。
横山さんの場合、背が割とあるので、理論的には低音も音域が広がる筈だし(声帯の長さの面で)、高音だって普段から出せているのだから(ヤスくん並みではないですが、それでも)、ボイトレとかしたら絶対に音域も広がるし声の出し方、のどのケアとか勉強になるだろうなぁとずっと思っていました。
だから、私は彼が自分の歌のことを卑下するような発言をしているのを、笑えませんでした。
背丈や特徴的な声、沢山いいものを持っているのになぁ・・・と。
歌の先生にも厳しい指導を受けたようですが、「ジレッタ」での経験は自信にもなると思うし、何より歌い方を勉強出来たことは本当に大きいだろうな、と感じます。
わたくし事で申し訳ないのですが、私も、大学で合唱をするまでは自分の声が大嫌いでした。
でも、発声を習って、声の出し方や響かせ方、喉のケアとか、いろいろなものを勉強しました。
決して歌が上手いわけではないと思います。でも極まれですが、「綺麗な声してるね~」と褒めてもらえるようになりました。
発声を勉強すると、本当に人の声や歌い方って変わるのです。
今回のジレッタで、共演者の浜野さんをはじめ、横山さんの声が素敵だとおっしゃっている方が周りにいて、ご本人がそれを聞くことで自信になればいいなと思うし、歌や音楽がもっと好きになってくれたらいいな、と思います。
私は横山さんの歌声が大好きです。
優しくてなんだか大福もちみたいにほわっとしているような、でもたまに驚くくらい静かで温度がなくなるような声が。
関ジャニ∞に戻ってきた時に、どんな風になっているのか今からとても楽しみです。
何だか横山さんの歌の事ばかり書いてしまったので、本編の門前の事や他のことも少しだけ。
門前は、前述したのですが衣装は基本モノトーンでした。
黒のジャケット+白ネクタイ(たぶんフライヤーと同じ衣装だったかと思います)とか、黒のロングコートに黒のタートルネックとか、黒シャツ+黒ネクタイとか、黒一色というかんじでした(笑)
門前のキャラクターや横山さんの容姿にはドンピシャなかんじで・・・。
驚くことに、そんな暗い色の衣装を着ているのに、舞台上で本当に目を引かれるのです。華やかなのです。
照明が当たっている場面が多いですが、それ以外でもまるで照明が当たっているかのような・・・
特に2幕からは門前もどんどん狂気じみていくので、そんな門前が黒のロングコートをたなびかせているのを見ると、怖いくらい美しかった。
美しいのです本当に・・・。
門前というキャラクターは基本、人を利用することを厭わない人間だったと思います。
現実にいたら好きにはならないし、なんでこんな男に引っかかるんだろう・・・と思ったんですが、でもどこか憎めない、ほっとけない人でもあると思います。
悪人になりきれていない人だと思いました。
必死なんです。ただ、自分の名を轟かせて天下を獲りたいと思っていただけで。
人を動かすために、冷徹に残酷になりきれないというか、どこか一生懸命で必死で。
2幕でどんどん廃れていく門前を見ながら、ふと、門前が死ぬしかこのストーリーを終わらせることは出来ないのではないか?と気づきました。
そうしないとこのストーリーは終わらすことが出来ないのかもしれない、と。
それに気づいて、ぞっとしました。
ストーリーがどんどん予想通りの結末に向かっていくので、自分は観ていて涙が出てきました。
死んでほしくなかったし、幸せになって欲しいな、と思ってしまいました。
山辺と地球滅亡のジレッタを企んでくるあたりから、門前がどんどん狂気じみてくるんです。
それがもう、涙が出るくらい怖かったです(笑)
それを演じている横山さんが死ぬんじゃないかと思うぐらい全力で。表情なんか本当にヒール顔そのものというかんじでした。
最期、山辺が死んだことでジレッタの世界に取り込まれてしまうシーンは、もう横山さんがこのまま倒れちゃうかもしれないと心配になるぐらいの絶叫ぶりでした。
死にたくないという恐怖、信じられない気持ち、ジレッタの混沌とした世界。
あんなに鮮やかだった「ジレッタ」の舞台が、一気に恐怖と混沌に包まれた世界に変わっていくのを観て、鳥肌が立ちました。
全編通して笑えるシーンは沢山ありました。
曲もよくて、面白くて、客席みんな「ひひひっ」って大笑いするシーンが沢山あって。
後半からどんどんダークな展開にはなっていたけど、でも、最後の最後で、とんでもない世界が待っていたんだな、と。
最後、ジレッタの世界に取り込まれていく瞬間の横山さんの絶望した顔と断末魔のような叫び声は本当に凄まじかったです。
あの横山さんの叫び声と断末魔が頭から離れなくて・・・トラウマになりそうなくらい怖くて、残酷で、悲しいシーンでした。
最期がそんなかんじなので、もう客席も息が出来なくなるくらい静かで・・・
あの空間は、演者さんのそれまでの過程も勿論、十分あると思うんですけど、横山さんが作り出したのかな、と。
そう思えるぐらい凄かったです。
カーテンコールは歌いながら出てくるかんじでした。
ミュージカルっぽかった。
主演なので、一番最後に横山さんが舞台後方のセンターから出てくるんですけど、そのお顔がやりきった表情で、それを見ると色々ともう駄目でした・・・
拍手も、凄かったです。
劇場中に広がるような、そんな拍手でした。
共演者の方とニコニコと楽しそうに歌ってらして・・・浜野さんがノリノリなので横山さんもめっちゃ笑顔だった(^^)
それを見ていると、もう涙が止まりませんでした。
最後の場面が怖すぎて大泣きだったんですけど、更に泣いてしまいました。
凄いなぁという気持ちと、全力でこの仕事に取り組まれているんだなぁと感じたし、何より、優しくて素敵な人達に囲まれているのだなということが分かりました。
Twitterとか他のメディアでも、共演者の仲の良さは十分伝わってきたのですが、共演者に恵まれて、楽しくやれていて本当に良かったなと感じました。
変な受け取り方かもしれないんですが、そういうのを感じて涙が止まりませんでした。
シアターコクーンは小さい箱なので、きゅっとコンパクトな劇場です。
ところどころ観にくい席があり、私の席も上手の2階A席で一部見えないところがありました。A席でさえそれですから(笑)、あまり演劇ファンには好まれていない劇場のように感じます。
でも、だからこその臨場感はすごいな、とも感じました。
ドームコンサートに行った後だと、観え方の違いや臨場感が違いすぎて、なんだか頭が混乱しました。
すぐそこに演者が立っているという不思議。
今までは舞台オタクで、逆にドームだと「何万人おるんや・・・」と混乱していたというのに、変な話です。
しょこたんや本仮屋さんをはじめ、共演者の皆さまも本当に素敵で。
しょこたんは、「空色デイズ」をよく聴いていたので(出場した紅白もリアルタイムで観ました~)、その時のしょこたんのイメージがどうしてもあったので綺麗な歌声に驚きました。
チエも一生懸命な子だった。
だから、最期が可哀想で・・・山辺の「ジレッタ」の世界では幸せになれたのかもしれませんが、でも、悲しくて堪らなかった。
本仮屋さんは、小さいころ、NHKの理科の番組か何かをしていた頃から存じ上げていて、朝ドラの「ファイト」も自分が入院していた頃の元気の素として拝見していたので生で演技を観ることが出来て感動してしまいました。
竹中さんは言わずもがなすごかった・・・出てくると一瞬で空気が変わるのですね。
すごい俳優さんだと思う。
他の共演者さんもみんな、この作品が好きなのだなと感じました。
観ていてそれがすごく伝わってきたし、そう感じ取れる舞台を観ることが出来て幸せです。
そして、やっぱり思ったんですが、横山さんて自分自身を照らすことが出来ますか?
自然に発光していませんか?
舞台上にいる横山さんを見ていて、なんであんなに光ってるんだろう・・・とボーっとしてしまう瞬間がありました。
足長いしスタイル良いし美しいし、同じ人間なのに一体どういう事なんだろう・・・と。
身のこなしもすごく綺麗で。
何ていうんでしょうか、全然無理がない、自然なかんじの身のこなしで。
トレーニングを日々しているからかもしれないし、元々運動神経が良いというのもあるとは思うのですが、漫画チックな動きをしていても(ところどころ、オーバーに動くシーンがあったのです)全然違和感なかった。
門前に求められているもの、全部、横山さんだからこそドンピシャでハマったのだろうなと思わせられました。
横山さんにしかできない役だと思ったし、本当にぴったりだなぁと感じました。
同時に、大変な役だとも思う。
本当に全力で生きてるキャラクターなので、最後の最後まで、全力でいなきゃいけないと思うし、最期の場面の門前だけで1日の体力を使うんじゃないかと思うのです。
まだまだ公演は残っているし、大阪公演もあるけど、最後までどうか、走り抜けて欲しいです。
原作の手塚治虫さんは、どのような思いでこの作品を書いたのでしょう。
雑誌での連載が始まったのは約50年前。
日本は高度経済成長の真っただ中で、私はその時代を生きてはないですが、きっとすごい時代だったんでしょうね。
「ジレッタ」の世界は、まるでVRみたいだった。
当時、VRなんてあり得ないはずなのに、妄想の世界にダイブするという事を思いつく発想がすごい。
手塚さんに、なんでこんな物語が書けたのですか?と聞いてみたいです。
そして、舞台版の「ジレッタ」を観ていると、人間の残酷さ、愚かさ、孤独、暗さ・・・そういう負の感情が、警鐘のように自分に突き刺さってくるのを感じました。
門前もそうですけど、チエだってどろどろした感情がすごい。可愛いだけじゃなく、女として非常に強く、残酷。
登場人物みんな、鋭利な刃物を抱えています。
でも人間って、結局みんなそうなのかも・・・とも思います。
誰だって綺麗事だけで生きていけない。
でも、そのどろどろした感情を抱えるのはいいけど、人を傷つけたり苦しめたりするのは違うかも、とも思う。
自分が正しいとは思えないけれども、自分の生き方は恥ずかしいものではないのか、考えなくてはいけないのでしょうね。
「ジレッタ」を観た後、ずっとそんな風に考えていました。
原作を全く読まずに行ったのですが、そのぶん衝撃や戸惑い、怖さが感じられて逆に良かったのかも、と思っています。
すごく面白い舞台だった。
本当にそう思います。
観劇出来た事、とてもありがたいなと思います。
大阪公演も観に行けることになっているのですが、2度目なのでまた違った視点で観れるのかな・・・と。
「ジレッタ」の世界がどうなっているのか、それが今からとても楽しみです。
そして。
「ジレッタ」観劇前に、Twitterやはてなブログでお世話になっているのいさんにお会いすることが出来ました。
私の拙い話を聞いてくださりありがとうございました。
エイターさんにお会いしたの初めてだったので、とてもうれしかったです~(^^)
お土産もくださって・・・ありがとうございます。
翌日は仕事だったので、泊まることはせず日帰りでした。
行き帰り飛行機で、空港~劇場、空港~自宅とずっと移動していた1日だったような気がします。
疲れはすごく、「ジレッタ」の衝撃で睡眠不足にもなったりしたのですが、毎日とても頑張れました。
毎日を頑張る活力があること、本当に有り難いです。
来月は仕事で大きな山を越えなければいけないのですが、精いっぱい頑張ります。
大阪公演もだけど、「ジャム」のツアーも楽しみ。
明日からのお仕事も、頑張ります!